前回の続きとなりますが、親から相続した不動産の売買契約書を捨てたけど権利証を大切に保管するAさん、その反対に権利証は捨てたけど売買契約書は保管するBさん。
さあ、これを読んで下さっているあなたならどっちが正しいと思いますか?
(両方ちゃんと保管するよ!というのが一番無難ですが、それではお話しとして面白くないのでどっちか選んで下さいね。)

まず、私の経験上、もっとも多いのがAさんタイプ。
実際に相続のご相談、ご依頼を受ける際にいろんな資料をご提出してもらいますが、「契約書」も大切に保管している方に出くわすのはかなりのレアケース。
一方、権利証を大切に保管している方は圧倒的に多いです。

でも結論から言いますと、亡くなった人名義の権利証は実際にはほとんど意味がありません。
というよりは使えません。
権利証は「この不動産は私のものです!」ということを他人に証明するものじゃないんですね。

一般の方は権利証=不動産を守る最重要書類、と思われています。
もちろん、全くの間違いではありませんが、実は権利証ってその不動産を売却する時なんかに登記申請する際の「本人確認資料」の一つで、登記所が発行した身分証明書みたいなものです。
亡くなった親の運転免許証を持ってても車を運転できないのと同じで、その登記手続をする人の名前の権利証じゃないと使えません
実印と印鑑証明書と権利証は1セットで、もちろん同一人物のものでないと何の意味もありません。

なので、Aさんが持っている権利証はただの紙。
Bさんは権利証捨てちゃいましたけど、全く困りません。

次はその不動産を売ったときに気になるのが税金。
権利証と異なり、Bさんが持っている売買契約書は「その不動産をもともといくらで買ったか」を証明する重要書類。
例えば親が1000万円で買った土地を相続して、値下がりした500万円で手放したBさんは「損した」ことになり、所得税はかかりません。
親の名前の契約書の効力(買った値段)は親が死んでも消えなかったのです。
でもAさんはその契約書を捨てちゃいましたから親が1000万円で買ったことを証明できません。
(領収書がある、とか細かい話はなしにします。)
その結果、Aさんも本当は損しているのにもかかわらず、「あなた得しましたね~」って税務署に言われて多額の税金を支払うはめに・・・

最後に笑ったのは実は少数派のBさんでした。

ある税理士さんのブログにこんなことが書いてありました。
「権利証はなくしてもいいけど、売買契約書だけは死守するように!」

皆さん、気をつけましょうね~。

*これらはあくまでも相続した不動産売却に伴う一例に過ぎません。
全ての方に該当するものではありません。