相続のご相談を受ける時によくあるご質問。
「相続の手続をせずにそのまま放置していたら最後は国に財産が没収されるって聞いたのですが、本当ですか?」

もう少し細かく書くと、誰かが亡くなって相続手続をすることなく、銀行預金や不動産の名義をちゃんと変えずにそのままにしておくと、その財産は最終的に国のものになってしまうんでしょ、ってお話しです。
こう思っている人は結構多いようですが、皆様はどう思いますか?

その答えはNOです。
もしかすると将軍様が完全支配している何処かの国家ならありそうな話ですが、日本は完全な法治国家で、そんな制度も法律もありません。

冷静になってよ~く考えてみれば、ただ相続手続をしなかった、との理由だけで国家が一個人の財産を強制的に没収できるはずがありません。
そんなことが実際にあれば民主主義もへったくれもありません。
法律も裁判所も弁護士も司法書士も必要ありません。
私は明日から無職になってしまいます。
ですから、もしもそんな話をしている人がいたら、その人はきっと大きな勘違いをしているか、オオカミ少年のどちらかです。

ただし、ここで一つだけ付け加えておきます。
法律で定められた相続人が存在せず、そして、更に法律で定められた手続を家庭裁判所を通じて行った場合は、最終的にその遺産(基本的に不動産は除く)が国庫に帰属されることはあります。
おそらく、前述の勘違いをされている方はこのことをお話しされているのかな、と思います。

ただ、この制度を使って最終的に財産が国庫に帰属されるまでには、いくつもの条件と更に最低でも1年を超える長期間に渡って法律で定められた複雑な手続をたくさんしなければなりません。
ちなみにこの写真は、実際に私が家庭裁判所から命ぜられてやっています、この仕事に関することが国が発行する新聞に掲載された公告(チラシなどの広告じゃないですよ)です。

じゃ、なぜ不動産は国庫に帰属しないのか。
国としたら、よ~わからん不動産を保有してしまうと、維持管理費として永久的に税金を使うはめになってしまうので不動産はもらいません、っていうことですね。

これで遺産が国に没収されるのか!?という心配はなくなったとは思いますが、やっぱり遺産相続手続は早めにするのが一番ですよ。